人を想う看護を

「 私たちは、また来てねといえる病院を目指します 」
そんな、少し楽しくなるキャッチフレーズの病院がある。
 
兵庫県明石市にある、医療法人社団医仁会 ふくやま病院。
ふくやま病院では、看護師を募集している。
 
山陽電気鉄道本線、西新町駅の駅前広場に隣接し、駅の階段を降りると、すぐ左手に白壁の清潔感がある建物が見える。
 



病院内に足を踏み入れると2階に上がる綺麗な階段と、大きな白い本棚が目に入る。白を基調とした静かな空間に、カリモク60で統一された外来の椅子達が、ある規律を守って並んでいる。2回目の訪問だったが、不思議な懐かしさと心地良い安心感を与えてくれる。
 



前回の訪問では、ふくやま病院のこれまでと今、そしてこれからをたくさん聞かせてもらった。地域の求めるものを常に感じとりながら、地域と共存する病院。
 
今回は、前回の訪問時に詳しく話を聞けなかった看護部を訪問した。
どんな人を求めているのか、どんな看護を目指しているのかを詳しく聞かせてもらった。
 
はじめに話をうかがったのは、看護部長の緒方環さん。
穏やかな外見と、しっかりとした話ぶりが落ち着きを与えてくれる。
 

ふくやま病院に勤務して11年目になる緒方さんは、佐賀県出身。
1994年に看護免許を取得し、国立神戸病院(現・独立行政法人国立病院機構神戸医療センター)に入職した。その後、2005年には看護師長となり、同年に独立行政法人国立病院機構大阪南医療センターに配置換えとなる。
 
ふくやま病院には、前看護部長からの誘いで2008年に看護師長(ふくやま病院では課長)として入職した。
前部長は、ゆくゆくは看護部のトップとしてやってもらいたいと期待していたようだ。当時、緒方さんは結婚したばかりで、いずれは妊娠、出産を考えていた。
家庭のことを一番に考えたいと思っていた。責任と仕事量を考えると、看護部トップの仕事はとてもできないと伝えていた。
 
しかし、前看護部長は斬新な発想をする人で、「子育しながら、看護部長ができるようにしてみなさい」と言ったそうだ。事実、前看護部長は様々な仕事を勤務時間内に終わらせるように残業時間を減らす提案をし、仕組み作りを行なっていた。1人で4人の子育てをしながら、看護師として働き続けた人でもあった。そのような環境の中で、仕事と子育てができるように努力してきたのだろう。
 
残業を減らす働き方の提案を、譜久山剛 理事長、譜久山仁 院長も受け入れていた。ふくやま病院では、現場で問題になっていることは、すぐ相談できるという。
提案を受けると、幹部職員が皆で検討し、現状のシステムを変える。
様々なことを、迅速に改善し続けている。
 

緒方さんは、2015年に副看護部長となり、翌年、2016年にふくやま病院看護部長になる。その時には、娘さんは小学生になっていた。家庭、子育てを大切にしたいと考えていた緒方さんは、大胆に働き方を変えていた。全ての会議や院内研修を、勤務時間内に終わるようにした。
 
トップが働き方を変えることで、他のスタッフも働き方を変えやすくなった。
 
ふくやま病院では、様々な子育て支援を行なっている。
育児短時間勤務制度があり、お子さんが3歳までは2時間の勤務短縮ができ、さらに小学生の間は、1時間の時短勤務ができるようになっている。
職員専用託児施設のコアラ保育園は、24時間の対応で、一時預かりにも対応している。
 
ふくやま病院の働き方は、常勤が4パターンから選択でき、個人の事情に合わせて働きやすい仕組みになっている。給与で差をつけることで、フルタイムで働く看護師も納得できているのではないだろうか。それよりも、子育てや介護などの個人の事情で働き方を変える事を、尊重する文化が出来ている。
 
その結果、驚いたことに看護師の月平均超過勤務時間は、1.3時間となっている。
思わず、日に1時間ではないかと聞き直してしまった。
また、年平均有給獲得日数は9日、平均取得率は76%となっている。
 
ふくやま病院看護部は、「患者さんやご家族の目線に立った看護の実践」を目標としている。病院全体としては、「自分や家族が受けたい医療をつくる」という目標をあげており、その目標に沿う看護目標となっている。
 

 

病棟は2つで、3階は一般急性期病床(27床)と地域包括ケア病棟(31床)、4階は緩和ケア病棟(30床)になっている。
3階病棟の看護師長(ふくやま病院では課長)の髙尾千賀代さんに話を聞いた。
 

髙尾さんは、ふくやま病院に勤務して5年目になる。出産して2年後に、保育所のある病院を探していたところで、ふくやま病院に非常勤として勤務することになった。保育所のコアラ保育園に好印象を持ったことも、入職の一つのきっかけだった。
当時は非常勤として、週4日の勤務形態だった。子育てがあり、夜勤や遅出勤務ができないので常勤にはなれないと思っていた。
そんな時、看護部長の緒方さんの提案で週5日勤務に増やし、日勤のみの日勤常勤という新たな勤務形態を導入してもらった。
 
ふくやま病院初の、日勤常勤者となった。
 
非常勤から常勤になったことで、色々な役割を担うことができるようになった。仕事に対するやりがいを、さらに感じることが出来た。
その後、副主任、主任、師長(ふくやま病院では課長)に昇進する。
 
柔軟かつ多様な勤務形態を導入してもらったことには、本当に感謝しているという。
 
看護部長の緒方さんは、「能力が高く、もっと働きたいけれど働けない看護師の勤務形態を工夫することで、やりがいを持って働けるようにしたい」と語った。
 
4階の緩和ケア病棟の看護師の古賀智華さんも話を聞かせてくれた。
4歳と2歳の子供さんのお母さんナースだ。
 

古賀さんは、福岡県出身で、結婚を機に兵庫県明石市に移ってきた。福岡では病床1000床の救命救急センターを要する救急病院で勤務していた。
ふくやま病院には2011年に病棟看護師として勤務し、約2年半前に緩和ケア病棟の立ち上げに関わる。
明石市では知り合いがいなかったため、求人紹介会社の紹介で3つの医療機関を見学し、ふくやま病院に決めた。当時のふくやま病院は新築移転前で古い建物だったが、職員が気さくに挨拶をしてくれたことなど、雰囲気が自分に合っていた。とにかく、第一印象が良かったという。
 
「直感で決めました」と笑った。
 
緩和ケア病棟では、個々の患者さんに担当看護師がつくプライマリナース制をとっている。大変なこともあるが、病棟師長である藤井さんのもと、「一人で決めない、一人で悩まない、皆で考える」を合言葉に、チームで看護に取り組んでいる。
 
プライマリナースが常にアンテナをはり、担当患者さんのことを注意して見守っている。お孫さんが近く結婚するという話を聞けば、結婚式を病棟で企画するなど、自主的に様々な取り組みが行われている。
 

 

古賀さんは子育てをしているため、時短勤務(9:00−16:30)で常勤の勤務形態になっている。朝の母親としての時間が取れることが有り難く、大変満足している。また、他のスタッフがお互いを気遣い、お互い様の気持ちで助け合っており本当に助けられているという。
 
「ママナースに優しいふくやま病院、私自身がこの病院でしてもらったことをいつか誰かにかえしたい」
 
そんな古賀さんの言葉が、印象的だった。
 
髙尾さん、古賀さんが共通して話していたのは、多様な働き方もさることながら職員同士の助け合う組織文化だった。お互い様の精神で、他人を尊重し、気遣う雰囲気ができている気がした。
その想いで患者さん、家族にも接していることを、容易に想像することができた。
 
看護部長の緒方さん自身が出産、子育てを経験し、働き方を変えることで仕事と子育てのどちらかを諦めずにすむ仕組みを作ってきた。
譜久山院長もそれを認め応援してくれた。
 
2人のトップが行動することで、ふくやま病院の組織文化を、時間をかけて築いてきたのだろう。トップ自ら変化を起こし、組織文化にまで落とし込む。時間がかかることだと思うが、着実に根付いてきている。
 

スタッフのモチベーションを上げる取り組みとして、人事評価や目標設定でフィードバックを行っている。年に2回の個人面談を行い、その時に細かい人事評価の結果を伝えている。
 
様々な評価項目があるが、ふくやま病院は特に規律や責任性、協調性など人間性に重きを置いている。いくら優秀な人でも、他の職員と協力して仕事ができない人は評価が低いようだ。それは「自分や家族が受けたい医療をつくる」という病院の目標と、「患者さんやご家族の目線に立った看護の実践」という看護部の目標を、座標軸に評価をしているからだ。
 
優秀な評価を受けたスタッフには、昇給、昇格、賞与に結果が反映される。その評価を、譜久山院長が直接本人に伝えるようにしている。院長から評価されることで、職員の意識に良い変化が見られているという。
 
病院、看護部の目標を明確にし、正当に評価することで、どんな人材が必要とされているか、どんな看護を提供するのかがはっきりしている。
 

エビデンスに基づいた看護を提供するために、看護師自ら病態を考え、なぜそのようになったのかを皆で考え学び、共有するようにしている。院内の研修に力を入れたり、e−ラーニングも取り入れ、いつでもスマートフォンで視聴できるようになっている。
 

緒方さんと院内を歩きながら、色々な話をしていただいた。
 
「毎日、各部署をラウンドし、その時に問題の共有を行っている」
「職員が辞めずにやりがいを持って、無理なく働いてくれるように環境を整え
たい」
「そのためにも、院長とは腹を割った話もしている」
「院長は言いにくい事も聞いてくれる」
「看護部をまとめた上で、今後も病院運営で院長を支えて行きたい」
 
互いを尊重し、気づかいができる看護チームを作りながら、ふくやま病院をいい病院にしたいという気持ちが伝わってきた。
 

譜久山仁 院長にも話をうかがった。話し始めると、落ち着きと優しさを備えた人柄が、ゆっくりと伝わってくる。
 
「患者さん、ご家族の代弁者として看護の視点からチーム医療の質を、向上させて欲しいと思っています」
 
「看護師が現場で疲弊してまで無理をする必要はない、と思っています」
 
「看護の立場である看護師と診療の立場である医師は、役割は異なるが人としては対等であり、良好なパートナーシップを築き保っていきたい」
 
院長と看護部長が「医局プラス」に同席しており、いつでも、どんなことでも相談できる環境がある。さらに会議や対話を通じて価値観を共有し、透明性を高め、医療・看護の質と経営の健全性のバランスをとっていきたいと考えている。
 

譜久山院長はティール組織を目指していると言う。
ティール組織には、進化する目的、セルフマネジメント、ホールネスという3つの大切な要素があると教えてもらった。
その一つホールネスを調べると、メンバーの多様性を尊重し自己実現を促す。
メンバーが不安を感じないように、心理的安心を担保することが求められる、とあった。
 

ふくやま病院看護部の目指すものは、患者さん、家族の立場に立ち、相手の視線で物事を考え、エビデンスに基づいた質の高い看護を提供する。その上で、ふくやま病院を支える一人の職員として、病院経営も意識すること。
 
きっとそれは、自分の家族、ともに働く職員、そして地域の人たちに対しても、同じ思いやりのある態度が取れる人になれる、そんな気がした。
 
「職員が辞めずに、無理なく働ける、働きがいのある病院にしたい」
 
緒方さんの言葉が心に残った。
 
看護部長自ら働き方を変え、仕事と子育ての両立を実践する病院。
その働き方を、全面的に応援する院長のいる病院。
 
自分に合った無理のない働き方を自分で選び、看護師としてやりがいのある仕事ができる。そんな環境のふくやま病院で働いてみませんか?
 

 

(追伸)
今回も譜久山先生兄弟お2人に、明石の夜を案内していただきました。
明石のタコの芯のある柔らかさに感動し、最後には何十年かぶりに本場の明石焼きを堪能しました。
 

⇒ふくやま病院の1回目の訪問記事「地域の求めるものをさがして
 

求人案内
組織名医療法人社団医仁会 ふくやま病院
サイトhttp://fukuyama-hp.jp
勤務地兵庫県明石市硯町  山陽電車 西新町駅 徒歩2分
職種看護師
雇用形態病棟勤務 常勤・パート
①常勤・当直あり
②常勤・日勤のみ
③パート・当直あり
④パート・日勤のみ
※外来勤務・手術室勤務もあります
(ホームぺージで確認してください)
給与※ホームページで確認してください
勤務時間①常勤・当直あり
 ・8:30~17:00と16:30~翌日9:00のシフト制
 ・16:30~翌日9:00の休憩時間は120分
 ・当直勤務は3回/月以上
②常勤・日勤のみ
 ・8:30~17:00のシフト制
 ・10:30~19:00(相談可)
 ・11:30~20:00(相談可)
③パート・当直あり
 ・8:30~17:00と16:30~翌日9:00のシフト制
 ・16:30~翌日9:00の休憩時間は120分
 ・9:00~17:00(相談可)
④パート・日勤のみ
 ・8:30~17:00(相談可)
 ・9:00~17:00(相談可)
休日休暇常勤 4週8休 (2019年の場合 116日/年)
福利厚生①常勤
 交通費支給(月3万円迄)
 車通勤可(駐車場代月3000円自己負担)
 賞与年2回 昇給あり
 各種保険完備
 育児短時間制度あり
 24時間託児所あり(実質無料)
 退職金制度あり(勤務3年以上)
 各種研修制度あり
 時間外手当あり
 家族手当あり(対象者)
 支度金制度あり
②パート
 交通費支給(月3万円迄)
 車通勤可(駐車場代1日150円自己負担)
 24時間託児所あり(実質無料)
 支度金制度あり

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